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−ごろん店主日記−

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愛猫の余命果たせず 医者は神ならず・わたしは役立たず

2021年7月、愛猫の小夏がリビングで突然動きを止めて動かなくなっていることに気づいた。
そばに駆け寄って顔を近づけてみたが目を見開いたまま動かず、しばらくするとゆっくりと姿勢を崩して床に横たわった。明らかに異常があることだけは理解した。

翌朝、小夏を掛かりつけの動物病院へ連れて行く。
腎臓と膀胱をつなぐ尿管に結石が詰まっていて片方の腎臓は大きく膨張していることなどが診断された。

時はコロナ真っただ中、運悪く当該病院に登録しているフリーの手術医がコロナの濃厚接触者となり手術を担っていただけないとのこと。この病院内での手術は出来ないという意味。
そこで主治医が代わりの病院を探し、決まったのが日本動物高度医療センター(川崎市)でした。
この病院は二次診療(町の動物病院からの紹介のみ引き受ける)専門ですが、掛かりつけ病院からの依頼ということで手術をうけられることになりました。

7月25日に入院、手術前検査を経て翌日に手術で結石を除去。さらに尿管が詰まりやすい箇所をショートカットして尿が膀胱へ流れるようにバイバス手術も同時に行った。これで同じ石サイズが流れて来ても詰まらないらしい。
この開腹手術に際し、病院へもう一つお願いしたのが腸内細胞の採取でした。
結石とは別に、この1年あまり嘔吐と下痢が続いており様々な検査や食事の変更などを続けてきたが、目覚ましい改善はないままに推移していたのです。
元々の予定では内視鏡検査を受ける方向で主治医と話をつけたところでしたが、今回の結石騒ぎで急きょ手術となったため、この開腹手術の際に内視鏡よりも精度の高い腸細胞を直接採取する検査に切り替えました。

手術後の経過は順調で7月31日に退院となりました。
当該病院の医師から手術の説明、術後検査の日程などについての説明がありました。
最後に腸内細胞を採取、検査の結果報告がなされました。

空腸にリンパ腫がみつかりました。
回腸は慢性腸炎との診断です。
余命は2年です。
リンパ腫は手術による治療は出来ないし、完治もしない。
今後の治療方針はかかりつけ医と相談してください。
余命の話が唐突に出てきた以降、医師の話は頭に入りません。
なんでそんな話を急に・・・。

余命宣告されてから数分後には診察室を出されて会計へと向かいました。
余命ってなんだよ?それは何もしなければって話でしょ?
抗がん剤や放射線などの治療で延命は出来るはず・・・。
あの医者は二次診療専門だから個人への対応が乱暴なんだよ!
そんな考えが頭の中でグルグルグルグルとリピートするだけ。

「余命」という言葉。
はじめて伝えられた言葉。
とにかく必要な検査と延命治療で何が出来るかを病院と相談するんだ!
そう覚悟しました。

8月12日は小夏の16歳の誕生日。
バースデーケーキを準備、写真を撮り、親切にもケーキは人間が全て食べてあげる。例年通り。
8月19日、小夏を連れて掛かりつけ病院へ退院の挨拶、今後の治療方針について相談へ行く。
このとき、小夏を連れて行かなければ今も生きられたかも知れません。それが悔しい。
高齢での全身麻酔で弱っているであろう心臓の回復も不十分なままに、点滴をした行為が命取りになった可能性もある気がしてなりません。

治療方針の話を終え、帰ろうとしたタイミングで「点滴をされていきますか?」と主治医から声をかけられ、これまでも点滴はよくおこなってもらっていたこともあり、「お願いします」と応えました。
いつもと違ったのは、普段は私たちが同席する診察台の上で行われてきましたが、その日は別室へと小夏は運ばれて私たちは待合室で待つことになった点でしょうか。
点滴が終わり、いつものように小夏を連れて自宅へ戻りました。自転車で10分程の距離です。

その日の夜、小夏が息が粗くなっていることに気づきました。
もう深夜になっており、掛かりつけ病院はとっくに閉院。
心配はあったものの自分で寝床に入って寝始たこともあり、翌朝に病院へ連れていくことにしました。
翌日、横になってこちらを見ている小夏と目が合いました。
やはりおかしい。
未だ開院前の病院の留守電に状況を録音。開院時間ちょっと前に病院に到着してすぐに中へ。
主治医は休み。

代わりの先生にお願いして小夏は緊急入院、酸素室へ。
夕刻、病院から電話があり「小夏ちゃんは利尿剤を与え、溜まった胸水、腹水を抜きました。いまは元気になってごはんをモリモリ食べています」。
この様子なら明日面会に来ていただき、退院については主治医と相談してくださいと。

この先生の話では、おそらく小夏は拡張型心筋症を患っている。
この疾病の子は心臓が弱っているので、点滴は要注意なんですとの説明。
この1年、様々な検査を繰り返し、さらに全身麻酔を前に麻酔に耐えられるか否かの術前検査も行った。
点滴だって何度も打った。
今になって心筋症を患っている?
点滴は要注意?
なんだ、それは?
不信感が高まったものの、容体が安定・回復したとの報に素直に感謝した。

元気になっているとの電話のあった翌朝、今度は主治医から電話が来る。
「今回はありがとうございました!ホントに良かったです!」。
と話し始めた私に主治医は小夏ちゃんの容体が急変したのですぐに来てくださいと。

慌てて病院へ向かいましたが、小夏はすでに息をしておらず蘇生措置が図られていました。
小夏が死んじゃった。
きっと小夏は私たちに会いたかったことでしょう。
私がなんとかしてくれると最後まで期待していたことでしょう。
享年16歳と9日。
生まれた日は雨だったようですが、亡くなった日は残暑の厳しい良く晴れた日でした。

余命2年と唐突に告知する人
余命をさらに短くする人
唯一頼りにされながら役立たずな私

夏ちゃん、ごめんなさい。
夏ちゃんは四十九日の翌日にわたしの枕元にヒゲを1本置いていってくれたね、すっごく嬉しかった。
亡くなった君、同じく亡くなった君の仲間たちの尊厳がずっと守られるよう、きっときっと力を尽くすから。
僕にはもうそれしか出来ない。

追記
私の間違い、失敗から思う事。
動物病院選びは難しいけれど、命がかかっているので妥協はしない。
自らすすんでの情報収集を怠らず、状況について正確に理解する努力を。
原因を確定できないときは犬種・猫種ごとにある特徴的な疾病の症状、兆候の有無を確認してもらう。
主治医を信頼しつつも、長期にわたって状況に改善がない場合には転院も遠慮しない。
病院にある検査機器、主治医の専門分野、愛犬・愛猫の疾病などから総合的に判断を。

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